「政治のカネは自分で稼いだ」田中角栄のお金に対する自負
角栄とその時代 その3:社民でなく自民なワケ
民主か自由か
—-田中角栄が一筋縄でいかない「政治的スタンス」とは?
平野氏「角栄の根っこにあるのは都市と農村の地域間格差の解消、そして新潟のように近代化から取り残され、政治の光が当たらない《裏日本》全般に政治の光を届かせることでした。つまり、社会インフラ整備を中心とした所得の再配分を公平に行おうとしたのです。その意味で、角栄の政治理念は一見、社会民主主義的でもあります」
—-社民主義ですか!
平野氏「いやいや、そんな簡単な分け方では、角さんを捉えることはできませんなあ。角さんは、ズバリ、矛盾の『中間』で判断する『懐の広さ』が民衆の人気を呼んだのだと思います。しかも、角栄の真骨頂は、公平、平等では収まらない思いやり=惻隠(そくいん)の情があったんです。弱き者にはさらに余分に与える価値判断をしました。『か弱き者にはもっと優しい自由民主主義者』とでも呼んでいいかもしれません。自由か平等か、黒か白かという割り切り方で物事を考えるのではなく、対立や矛盾の中で優しい決断をしたことで民衆の人気をググッと獲得したのです」
●角さんの教訓3●
角さんは、単なる平等主義者ではなかった。弱き者には、さらに優しい、つまり、「惻隠の情」を持っていたから民衆に愛された
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